こんにちはD.N.Effectsの長山です。
今回はエフェクターの配線方法の「ポイント・ツー・ポイント配線(PtoP)」について見ていこうと思います。
ポイント・ツー・ポイント配線はプリント基板を用いずに部品同士の足を直接半田で結線し、基板を構成していくやり方です。
巷では「音が変わる」、「音が良くなった」というのを耳にしますが、実際はどうなのでしょうか?
ポイント・ツー・ポイント配線で音は良くなるのか?
一般的にポイント・ツー・ポイント配線で作られたエフェクターは音の解像度や音圧、帯域別でミドル落ちやハイ落ちが少ない音が出ると言われています。
理論上、電気の通り道がプリント基板より太いためロスが少なく、上記のようなメリットを得られるかもしれませんが正直な所エフェクターぐらいではあまり分かりません。
そもそも駆動電圧も低く、特段高い電流が流れている訳でもないので電気的なロスはプリント基板に比べて少ないかもしれませんが、音としてはっきり分かるほどではありません。
もちろん、全ての機材をハイエンドにし、めちゃくちゃ良い耳を持っていれば聞き分けは可能かもしれませんが、普通の人はまず無理でしょう。
かつ他のエフェクターを多く使用している人やアンプをスタジオやライブハウスに常設の物を使用している人は余計に分からないでしょう。
音が良いと思うのはエフェクターの設計がそもそも良いものでポイント・ツー・ポイント配線が大きく関係している訳ではありません。
恐らく、プリント基板で中を再構成しても良い音のエフェクターは出来上がるでしょう。
ポイント・ツー・ポイント配線は製造コストが高い
ブティック系のハイエンドブランドはその拘りからポイント・ツー・ポイント配線を採用していることが多いですが、価格はかなり高額になることが多いです。
ポイント・ツー・ポイント配線はプリント基板と違い、部品を取り付けて半田するだけでなくパターンを部品の足を使い構成しなくてはなりません。
なので、製造時間がプリント基板に比べて圧倒的にかかります。
結果としてコストが上がります。
それに見合った音を得られればいいでしょうが、その辺は作り手の拘り次第でしょう。
そして、製作途中に配線ミスが発覚するとやり直しにも時間がかかります。
ポイント・ツー・ポイント配線は個体差が生まれる
どのエフェクターでも製品の個体差は生まれますが、ポイント・ツー・ポイント配線で結線するやり方はパターンを自ら作る為、個体差が生まれやすいです。
個体差を最小限に抑えて製作するには相当な技術力がいります。
長年ポイント・ツー・ポイント配線のみでエフェクターを製作していれば可能かもしれませんが、そうでなければ個体差は大きくなるでしょう。
アンプをポイント・ツー・ポイント配線で作った場合は確かに音が良い
私自身、アンプを自作したことがこれまで2度ありますが、どちらもポイント・ツー・ポイント配線で製作しました。
アンプは聞いて分かるほど、音が良いです。
音の奥行や帯域別の落ちが無く、ハリや音圧もプリント基板のアンプに比べて違うものがありました。
ポイント・ツー・ポイント配線のエフェクターでも上記のような良さが本当は現れているのでしょうが、アンプはさらに顕著に現れ耳で聞いても分かります。
確かにプリント基板とポイント・ツー・ポイント配線では音の違いがあるとアンプで試して始めて分かりました。
ただ、ちゃんと製品として売られているポイント・ツー・ポイント配線のアンプはめちゃくちゃ高いので、そこだけがネックです…
まとめ
ブティック系のエフェクターにある、ポイント・ツー・ポイント配線は製作者の拘りで作られていると感じます。
ポイント・ツー・ポイント配線のエフェクターの中身は芸術の域に達している程、綺麗なものも存在します。
もう見ただけで良い音がしそうなエフェクターです笑
しかし、ポイント・ツー・ポイント配線で作られているから良い音がする訳でもなく、プリント基板で作られたものが悪いこともありません。
「このエフェクターはポイント・ツー・ポイント配線で作られているから良い音がする」
というのでなく、エフェクターその物の設計や回路が素晴らしいのです。
そのエフェクターをプリント基板で再構成しても恐らく良い音と言うでしょう。
各ブランドで拘りが違うのがブティック系のブランドの面白い所です。
ちなみにD.N.Effectsは中身はプリント基板で構成しています。
パターンの太さはなるべくロスを少なくするために太くしています。
実際にポイント・ツー・ポイント配線で構成したパターンもあったのですが、音の違いがハッキリ出なかったのと個人的に基板が好きだったので、プリント基板を採用しました笑
各ポッドやジャックへの配線はワイヤード配線となっています。
全国4店舗の楽器店様で試奏も可能ですし、公式サイトでの製品レンタル、販売も行っております。
是非、一度試してみて下さい!